出羽三山信仰に育まれた歴史と文化の里 岩根沢

  • エリア:西川町岩根沢地域
  • 団体名:岩根沢地域づくり協議会
 西川町岩根沢地区は、月山の南東部に位置し、天台宗の羽黒山系に属した日月寺(にちがつじ)を中心に古来より出羽三山参詣の要所として栄えた宗教集落であり、当時より周辺に宿坊が立ち並ぶ門前集落を形成しています。
 岩根沢の三山神社は、社殿に拝殿、客殿、座敷、庫裏等の機能を併せ持つ複合様式になっており、大賄部屋の八角柱には等身大の大黒・恵比寿の木像が安置されるなど、往時の修験道建築物として完全な様態で現存しており、今もなお東北や関東の一部から参詣者が訪れます。また、この神社への奉納神楽として明治初期に伝わったとされる岩根沢太々神楽は、定期奉納や子ども神楽への指導など伝承活動を続けています。
 また、この地域特有の郷土食である「六浄(ろくじょう)豆腐」を宿坊等で食したり、庄内地方と内陸地方に抜ける要所を押さえたであろう2つの舘跡も見たりすることができます。
 このように、出羽三山信仰と深く関わりを持ちながら歴史を刻んできた地域であり、地域に根付いた文化を大切に維持しています。他にはない特色のある歴史と文化が調和した地域を、地区民が一体となって次世代に引き継いでいきます。

保存・活用の取組み

  • 神社例大祭の開催と建造物の維持管理
  • 岩根沢太々神楽奉納の継続と後継者育成、調査研究及び台本整備、記録保存
  • 岩根沢太々神楽衣装及び備品の整備
  • 舘跡地の調査、案内板及び散策路等整備
  • 岩根沢の宿坊景観の保存
  • 食文化の伝承活動
  • 地域資源を活かしたフットパス事業の検討、実施

主な構成文化財等

・月山神社・出羽神社・湯殿山神社・摂社 月山出羽湯殿山三神社社殿 【国指定重要文化財】
・岩根沢太々神楽 【町指定無形文化財】   ・要害森舘跡  ・沼ノ平舘跡   ・岩根沢の宿坊  
 

月山神社・出羽神社・湯殿山神社・摂社 月山出羽湯殿山三神社社殿(旧日月寺) 【国指定重要文化財】

桁行35間5尺(約65m)、梁間12間2尺(約22m)、その長大な規模には一驚させられます。屋根は寄棟、鉄板葺ですが、もとは茅葺、さらに創建時は柿葺(こけらぶき)でした。現在の本殿・拝殿はもとは仏殿であり、その上手に六座敷、下手に上・下段からなる5室、さらに庫裡関係の大・小10室があり、広い台所には直径1mにも及ぶ八角柱6本が3本ずつ2列対称的に立っています。また、玄関の虹梁上と、軒唐破風下の壁面の彫刻は、精緻巧妙です。
 なお、嘉慶元年(1387年)、後小松天皇の時代に創建されて以来、3度火災に遭ったといわれており、現在の建物は、天保12年(1841年)再建のものです。明治2年の神仏分離令の際、日月寺号を返上しました。
山形の宝検索navi「月山神社出羽神社湯殿山神社摂社月山出羽湯殿山三神社社殿(旧日月寺本堂)」

岩根沢太々神楽【町指定無形文化財】

明治の初年頃、福島県伊達地方(現福島県伊達市)から伝わったといわれています。当初は、太神楽36座(面を付けて舞う)と小神楽12座(面を付けないで舞う)合わせて48座伝わったといわれていますが、現在は10座のみ演じられ、所願成就、五穀豊穣を願い、春は5月3日、秋は9月第2日曜に毎年奉納しています。平成25年の第62回伊勢神宮式年遷宮奉納行事に、山形県を代表して奉納しました。現在、保存会では演目の復活を目指して活動しています。  

岩根沢の宿坊

出羽三山詣の登拝口の1つ岩根沢口として栄えた岩根沢地区は、かつて神社の前に31軒の宿坊があり、現在も3軒の宿坊があります。また、この地の郷土食として、「六浄(ろくじょう)豆腐」があります。これは、京都の六条から出羽三山参りに訪れた修行僧が岩根沢地区に伝えたのがはじまりとされています。豆腐に塩をつけ、カチカチになるまで干して保存食にしました。日持ちする貴重なタンパク源として、行者たちの携帯食や宿坊で出される精進料理などに愛用されました。

地図

わたしたちが案内します 0237-74-4732(岩根沢三山神社社務所)

  • 【アクセス】JR左沢線寒河江駅から車で約30分
  • 【問合せ先】岩根沢三山神社社務所  電話:0237-74-4732